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>>興行ビザ
興行ビザを申請する際に、基準1号であれ2号であれ3号であれ、人前(ひとまえ)でパフォーマンスをすることが「興行」と定義されている以上、興行ビザ審査における「会場要件」が問題にならないことはありません。
お客様を集めてパフォーマンスをする以上、そのハコの手配は必ず求められるからです。
一方、興行ビザの基準4号で申請をするテレビ撮影や映画撮影、レコーディングなど「興行以外の芸能活動」の場合には、人前でのパフォーマンスがありませんので会場要件の問題は生じません。
基準3号で申請するスポーツ選手の興行ビザも競技会場の問題は生じますが、ここでは会場選定に最も敏感であることが必要な、基準2号での興行ビザ申請にスポットをあてて興行ビザが求める会場について解説しましょう。
【ご参考】興行ビザ基準2号(一部抜粋)
ニ 客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設(営利を目的としない日本の公私の機関が運営するもの又は客席の定員が百人以上であるものに限る。)において演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。
ホ 当該興行により得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり、かつ、15日を超えない期間本邦に在留して演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。
民族料理レストランには舞台が設置されていて、そこで民族音楽や民族舞踏を披露することが広く行われています。民族音楽は独自の楽器を使うことから日本人ではなく外国人を招へいして披露することが多いですし、民族舞踏も同様です。外国人アーチストを使用することで意図的に異国情緒を醸し出すというマーケティング要素もあるでしょう。
アルファサポート行政書士事務所においても、東京にあるいくつかの民族料理レストラン様のアーチスト招へいをお手伝いしています。
このような民族料理レストランのホームページには、多くの外国人アーチストが当該レストランで公演していることを確認することができるのですが、これらの外国人がこのレストランで公演をしているからといって、あなたの招聘する外国人アーチストの公演会場としてこのレストランが適格かどうかは別の話ですのでご注意ください。
これら民族料理レストランが自分のレストランで公演する外国人アーチストを招へいする際(これを自店招聘といいます。)は興行ビザ基準1号で申請をしています。
あなたの申請が興行ビザ基準2号ホであるなら飲食物を提供するこのレストランを使用できるでしょう。しかしながらあなたの申請が基準2号二であるならば、このレストランは使用することができません。
なぜなら自店招聘のアーチストは1号要件をクリアしていますが、貴方の申請がクリアすべきは2号二なのであり、2号二は飲食物を提供する会場は不可であるからです。
同じ会場でもどの基準で申請するかによって使えたり使えなかったりしますので、他の外国人を招へいできているから自分もできるだろうという判断は、その外国人がどのカテゴリーで申請しているか確認できないケースではリスキーです。
興行ビザにおける「興行」は明確に定義づけられていて、「特定の施設において、公衆に対して映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は見世物を見せ、または聞かせる」ことを言います。
するとサインをする行為、握手をする行為、ファンミーティングを催す行為は「映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は見世物を見せ、または聞かせる」行為ではありませんから「興行」には該当しないはずです。
興行でないならば、興行をする際に求められる興行ビザ基準1号、2号、3号で要求される会場要件を満たさなくてもよいはずです。
理論的にはそうなのですが、入国管理局は実際にはこれらサイン会、握手会、ファンミーティングの会場に対しても1号乃至2号の要件を求めているのが現状です。
率直に言ってこの入管の対応を不服として裁判に持ち込んだ場合、入国管理局の運用が違法であると判断される可能性は大いにあると考えています。
しかしながら実際の現場では、イベント日が告知され来日予定日も決まっている以上、入国管理局にクレームを入れて時間を浪費することはできません。
入国管理局がこれらサイン会、握手会、ファンミーティングの会場にも2号要件を求めている以上、基準2号二かホの要件を満たす会場をセットする必要があります。
アルファサポート行政書士事務所でも、ある広場で握手会を催すお手伝いをした際、その広場のスペースが客席何人分なのかをきちんと説明する資料を提出しています。基準が求めているのは「客席」基準のスペースですので、立って百人収容できることを立証しても意味がありません。座って何人分か「客席定員」を確認しましょう。
興行ビザ基準2号二は「客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設」であることを求めています。
この基準の読み方は少々ややこしいのですが、前段の「客席において飲食物を有償で提供せず」は「施設」にかかっています。つまり「客の接待をしない施設で、客席において飲食物を有償で提供しなければよい」という意味ではなく、「客席において飲食物を有償で提供しない施設で、かつ、客の接待をしない施設」であることが求められています。少なくとも入管はそのように解釈・運用しています。
するとどのような結論になるかというと、「客席において飲食物を有償で提供する施設」はそもそも施設として不適格であり、その施設を使用する以上、そこで実際に飲食物を提供するかしないかはまったく考慮の外である、ということになります。
したがって客席内にカウンターが設置されているような場合は、ご自身の興行でそのカウンターを使用しようが使用しまいが、いずれにせよその会場は使用できないのです。これは客への飲食物の提供が「物理的に不可能な会場」に対してのみ基準1号の要件を緩和するという入管の強い意思の現れと言えます。
わかりやすい例でいうと、帝国ホテルやオークラのような由緒あるホテルの宴会場であっても、ふだん飲食物を有償で提供する施設として使われている以上、(あなたがそこで飲食物を提供するか否かにかかわりなく)興行ビザ基準2号二の要件は満たさないので興行ビザが許可されることはありません。もちろん2号ホであれば許可の可能性があります。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。